「クアラルンプール」第21回マレーシア国際ハラール展示会(MIHAS 2025)と同時開催された国際調達プログラム(INSP)が、過去最多の参加者を集め、マレーシアが世界のハラール経済をリードする姿勢を鮮明に示して閉幕した。
会場となったマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)には、50か国から300名の国際バイヤー(うち50社は有力輸入業者や大手ハイパーマーケットチェーン)、さらに150名のバーチャルバイヤーが集結。600社以上のマレーシア輸出業者が参加し、4,000件を超える一対一の商談が行われ、25億リンギット(約5億9,644万ドル)の売上が見込まれている。
今年のイベントは過去で最も多様なバイヤー陣を引き寄せた。地域別では、中国と北東アジアから86社(29%)、南アジア75社(25%)、ASEAN60社(20%)、アフリカ36社(12%)、アメリカ大陸と欧州25社(8%)、中央・西アジア18社(6%)となった。アルジェリア、コンゴ、コスタリカ、ガーナ、マリ、ノルウェー、パナマといった新規市場からの参加もあり、中国とバングラデシュがそれぞれ39社で最多、続いてネパールが16社だった。
マレーシア貿易開発公社(MATRADE)のリザル・メリカン・ナイナ・メリカン会長は「INSP MIHAS 2025は、これまでで最も多様な地域からの参加を実現し、既存市場と新規市場の両方でマレーシア輸出業者とバイヤーを結びつけることに成功した」と語り、「アルジェリア、コスタリカ、ノルウェーなどとの接点を広げることで、マレーシアはASEANから世界のハラール経済への架け橋としての地位を強化している」と付け加えた。
カンボジアとの二国間貿易について問われたリザル氏は、「このプラットフォームは間違いなく両国間の貿易を拡大させるだろう。我々の二国間貿易はハラール製品に限らず幅広い品目を含んでいる」と述べた。さらに「ASEAN域内でハラールを優先経済課題として位置づけ、ASEANハラール評議会の設立を提案している。これにより、地域全体を世界のハラールバリューチェーンの主要プレーヤーとする」と強調した。
マレーシアとカンボジアの貿易額は、2023年の6億6,530万ドルから2024年には8億5,560万ドルへと28.6%増加。マレーシアからカンボジアへの輸出は28.5%増の6億6,450万ドル、カンボジアからの輸入は29.1%増の1億9,110万ドルだった。
主要輸出品目は石油製品(34.9%)、繊維・衣料・履物(16.6%)、金属(14.8%)、非金属鉱物製品(7.3%)、化学品(6.6%)。一方、カンボジアの対マレーシア輸出は繊維・衣料・履物(46.7%)、農産物(32%)、工業製品(10.9%)が上位を占めた。
MATRADEのムスタファ・アブドル・アジズ最高経営責任者(CEO)は、4,000件の商談について「単なる取引ではなく、高付加価値市場における長期的なパートナーシップを築く機会だ」と述べた。同氏は、48か所の海外貿易事務所ネットワークを活用してバイヤーを厳選・事前審査することがINSP MIHASの強みであり、ターゲットを絞った商談と持続可能な成果につながっていると強調した。
さらに今年は、AIを活用した「マダニ・デジタルトレード」プラットフォームが初登場し、リアルタイムのデータ、市場動向、ビジネスの嗜好に基づいてマレーシア輸出業者と国際バイヤーをマッチングする仕組みが導入された。これはマレーシア新産業マスタープラン2030および国家貿易ブループリントと整合する取り組みである。
なお、INSP MIHAS 2025のバーチャル商談は2025年11月5日まで継続しており、カンボジアを含む国際バイヤーとマレーシア輸出業者の交流をイベント終了後も可能にしている。