アジア市場、FRB利下げ期待が通商懸念を上回り上昇

昨日の株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の発言を受け、今月中にも追加利下げが行われるとの期待が高まり、貿易戦争への懸念を押しのける形で大幅に上昇した。

米中間の新たな緊張の高まりで数日間にわたり不安定な相場が続いた後、投資家たちは再び市場に戻り、数カ月にわたるテクノロジー株主導の上昇基調を再開した。

パウエル議長は今年を通じて、インフレ抑制と雇用支援のバランスを慎重に取り続けており、ドナルド・トランプ前大統領から「利下げが遅い」と度重なる批判を浴びながらも、独立した政策運営を続けてきた。

物価上昇率は依然としてFRBの目標を上回っているものの、最近の経済指標の軟化を受け、パウエル議長は雇用の維持に重点を移している。先月には2023年12月以来初となる利下げを実施したが、火曜日の発言ではさらなる利下げの可能性を示唆した。

「活力を欠くやや軟調な労働市場では、雇用に対する下方リスクが高まっている」とパウエル議長は述べ、「長期的なインフレ期待は依然として2%目標と一致している」とした。
さらに、「雇用リスクの上昇により、リスクバランスの評価が変化した」とし、「雇用とインフレの目標の間で政策運営を行う中で、リスクのない道は存在しない」と付け加えた。

また、パンデミック時に実施した大規模な債券購入などで膨れ上がったFRBの保有資産の縮小を、近く停止する可能性にも言及した。これは金利を低く保ち、経済を支えるための金融政策の一環である。

FRBは議会から「物価安定」と「雇用最大化」という二重の使命を与えられている。

米政府閉鎖の影響で9月分の公式雇用統計は発表されていないが、民間データでは雇用の伸びが明確に鈍化していることが示されている。

米国株は最終的に下落して引けたものの、午前中の安値からは持ち直した。一方、アジア市場は全面的に堅調だった。

香港、東京、台北、ソウルはそろって1%以上上昇し、シドニー、シンガポール、ウェリントンも上昇した。

上海市場も上昇し、9月の中国消費者物価指数(CPI)の下落という弱いデータにも大きな反応は見られなかった。パウエル議長の発言により、投資家は米中間の最新の関税応酬から一時的に関心をそらした。トランプ前大統領は先週、中国のレアアース政策を理由に「最大100%の関税」を警告していたが、日曜日にはややトーンを和らげた。

一方で、中国は韓国造船大手ハンファ・オーシャンの米国子会社5社に制裁を課し、米国による海運業界調査を支援したと非難し、火種を再び投じた。

それでも、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「中国との関係は公平だと思う。問題はないだろう。もし問題があっても、それはそれで構わない」と述べ、対話の余地を残した。
「多くのパンチを繰り出しているが、我々は非常にうまくやっている」とも付け加えた。

米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア氏はCNBCのインタビューで、レアアース問題について月曜日に両国高官が協議したと明らかにし、「過去にも解決の道を見出してきた。今回も乗り越えられると確信している」と楽観的な見通しを示した。