日本のスタートアップ、カンボジアで今後10年間に2000万トンのCO2削減を目指す

日本のスタートアップ企業グリーンカーボンは、カンボジア王国における事業規模を8~10州にまたがる50万ヘクタール以上に拡大し、今後10年間で約2000万トンのCO2排出削減と、それに対応するカーボンクレジットの創出を目指す方針を、同社が最近発表した声明で明らかにした。

グリーンカーボンは東京に本社を置く環境スタートアップで、水田における交互潅漑(AWD)プロジェクト、バイオチャール生産、マングローブ再生、森林再生などの取り組みを通じて自然由来のカーボンクレジットを創出・販売している。

2019年設立の同社は、カーボンクレジットの創出・登録・販売の包括的支援に加え、ESGコンサルティングサービスを提供。現在日本、東南アジア、オーストラリア、南米で事業を展開し、温室効果ガス排出削減と地域社会支援を目指している。

同社は各地域の自然資源特性に合わせたカーボンクレジット創出プロジェクトを開発。衛星データを活用したサイト選定・モニタリングにより、効率的で透明性の高いプロジェクト管理を実現している。

「バッタンバン州では、グリーンカーボンが初のAWD稲作プロジェクトを本格実施中であり、2025年雨季に1,000ヘクタールをカバーする。同社は今後の作期においてプロジェクト規模を着実に拡大する計画だ」と同社声明は述べた。

「この拡大は、2024年のパイロットプロジェクトの成功に基づくものです。同プロジェクトでは、稲作収量を増やしながらもメタン排出量を大幅に削減できることが実証され、環境面と経済面の両方で有益であることが証明されました」

グリーンカーボンは2024年4月より、日本国際農業研究センター(JIRCAS)が主導するSATREPS(持続可能な開発のための科学技術研究パートナーシップ)プロジェクトに協力機関として参画している。本プロジェクトは、水田用水管理システムの構築を通じ、カンボジア王国における温室効果ガス削減技術の開発・導入に注力している。

さらに2024年10月からは、カンボジア王立農業大学と共同研究を実施し、バッタンバン州における実証試験を推進している。

グリーンカーボンはプロジェクト構想書を地球環境センター財団に正式提出済みであり、カンボジア環境省および日本のJCM事務局と連携し、共同クレジットメカニズム(JCM)枠組み下でのプロジェクト登録手続きを進めていると同社は付記した。

2014年に締結されたJCMは、カンボジアの脱炭素化支援における日本の基盤的枠組みである。JCMは温室効果ガス排出削減プロジェクトに資金を提供し、削減量の一部をパリ協定に基づく日本の国別貢献(NDC)に算入することを可能とする。

カンボジアにおける主要な取り組みは、農業排出量の過半数を占める稲作由来のメタン排出削減である。