アジアの株式市場は週明けの月曜日、米国での利下げ期待が強まったことでおおむね上昇し、先週の激しい値動きによる不安が和らぐ形となりました。
ことしは、AI関連銘柄をめぐる投資熱が高まり、株価が大きく押し上げられています。半導体大手のエヌビディアは先月、時価総額が初めて5兆ドルを超えるなど、複数の企業が最高値を更新しました。しかし、巨額の資金が流れ込む状況に対して過熱感を指摘する声も強まっており、利益が実際に現れるまで時間がかかるとの見方から、市場調整への警戒感が広がっています。
こうしたなか、アメリカではインフレの高止まりによって、来月のFOMCで3回連続の利下げが実施されるとの見方が後退していましたが、先週金曜日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、12月9日から10日にかけて開かれる会合で「さらなる調整の余地がある」と発言したことで、市場の期待が再び高まりました。利下げの実施確率は、およそ35%から70%程度へと急上昇しています。
市場関係者の注目は、今週発表される生産者物価指数(PPI)に集まっています。政府機関の閉鎖の影響で、本来11月26日に公表される予定だった10月の個人消費支出(PCE)データが延期されており、FRBが判断材料とできる指標が限られるためです。アナリストは「予想を大きく上回るPPIとなれば、根強いインフレ懸念が再燃し、12月の利下げは難しくなる可能性がある」と指摘しています。
先週のニューヨーク市場で株価が上昇して終了した流れを受け、アジア市場も堅調に始まり、香港とソウルは1%以上上昇したほか、シドニー、シンガポール、ウェリントン、台北でも株価が上昇しました。一方、上海とマニラは下落しました。アメリカの先物相場も上昇しています。東京市場は祝日のため休場でした。
一方で、先行きへの不透明感は依然として残っており、ビットコインはおよそ8万7000ドル前後で推移しています。これは、先週つけた7か月ぶりの安値8万553ドルからは上昇したものの、先月記録した過去最高値12万6200ドルを大きく下回っています。