カンボジア不動産市場、回復の兆し 専門家が指摘

カンボジアの不動産市場は、今年は緩やかな成長が見込まれるものの、特に手頃な価格の住宅用コンドミニアムに対する強い需要が市場を支えていると、業界関係者は指摘する。

首都プノンペンの物件価格は一部で下落しており、国内外の投資家にとって新たな機会が生まれている。一方で、市場の一部セグメントは依然として堅調だ。

SAM SNグループのサム・ソクヌーン会長は、カンボジアの不動産市場が停滞しているという一般的な見方に疑問を呈した。「不動産に直接関わっていないカンボジア人や外国人投資家の多くは、市場は停滞していると言う傾向があります。しかし、長年この業界で実務に携わってきた私の視点では、現状はもっと複雑です」と述べた。

ソクヌーン氏によると、手頃な価格帯の住宅がプノンペンの需要を牽引している。1万7,000ドルから4万9,000ドルのコンドミニアムや戸建ては、若手プロフェッショナルや都市での生活を希望する家族に人気だ。「このセグメントは非常に高い需要があります」と語る。

一方、高級ヴィラは引き続き政府高官や富裕層の間で需要があるものの、2019年以前のように投資目的での購入は減少しているという。

主要道路沿いや見栄えの良い土地など、プライムロケーションの土地売買は活発だが、価格は2019年以前より30~50%低く設定されており、購入者は慎重に選択している。

工業用・商業用土地、特にプノンペン周辺の工場用地や倉庫、特別経済区用地は安定した需要がある。しかし、取引はゆっくりで、購入者は1平方メートルあたり10ドル以下の価格を目安に大型の土地を取得することが多い。

農業・農産業用地の需要は低調で、主要デベロッパーは外国投資家と協力し、取得済み土地を農業・農産業用に転換している。需要はおもに1平方メートルあたり3ドル以下の手頃な土地に限られる。

高級コンドミニアムはブンケンコン1区やダウンペン区の中心部で一定の人気があるものの、購入希望者は限られる。また、銀行の融資支援や適正金利があるプロジェクトは、購入者に安心感を与え、購買意欲を高める要因となる。

「市場が停滞していると見る向きもありますが、手頃な住宅、高級物件、一部の工業用土地など、狙いを定めたセグメントでは依然として活発な取引が行われています」とソクヌーン氏はまとめた。

カンボジアの不動産市場は、パンデミック後の経済環境を踏まえ、手頃な価格帯や実用的な投資案件への関心が2026年の市場動向を左右すると分析されている。

国家銀行(NBC)の2025年年次報告によると、2025年の不動産成長率は0.5%で、前年の0.9%から鈍化したものの、住宅販売は増加し、手頃なコンドミニアムの供給も増えている。

2024年に18%減少した住宅販売は昨年30.5%増加と大幅に回復。一方、コンドミニアム販売は19.6%減少し、前年の35.6%増から反転した。

住宅価格指数は全国平均で3.4%下落し、プノンペンは3.6%、地方は1.9%の減少となった。NBCと都市計画・建設省(MLMUPC)は、開発業者への分割払い制度や銀行融資の活用を推奨している。