株式・原油・貴金属が急落 週初から市場は大きく変動

株式、原油、貴金属相場は週明け月曜日に急落し、先週末にかけて市場を襲った激しい変動が継続した。背景には、ハイテク株の高いバリュエーションに対する懸念が再び強まったことがある。

投資家は、地政学的動向、主要企業による最新の決算発表、さらに米国の利下げ見通しを見極めようとする中で、金曜日の乱高下相場を引き継ぐ形となった。人工知能(AI)への期待を追い風に年初は堅調だった株式市場だが、先週に入ってからは、同分野に投入されている莫大な資金が果たしていつ回収できるのかという疑問が再燃し、相場は反転した。

こうした動きは、昨年にかけて記録的な高値まで上昇したハイテク株が、近くバブル崩壊を迎えるのではないかとの警戒感も呼び起こしている。今回の売りは、マイクロソフトがAI関連インフラへの投資拡大を発表したことを受け、企業が投資回収に時間を要するとの懸念が再燃したことが引き金となった。

ハイテク株の比重が高く、今年に入って複数の最高値を更新してきたソウル市場は5%以上急落。半導体大手SKハイニックスは8%下落し、サムスン電子も5%超の下げとなった。東京市場も主要ハイテク企業を多く抱えることから1%以上下落。半導体大手TSMCが上場する台北市場は2%以上値を下げた。

このほか、香港、上海、シドニー、シンガポール、ウェリントン、マニラ、バンコクの各市場も軒並み下落。ジャカルタ市場は5%以上急落し、指数算出会社MSCIが株式の所有構造に関する懸念を理由に、インドネシア株の指数組み入れや比重引き上げを当面見送ると警告したことで、先週からの急落がさらに拡大した。

市場では、インドネシアが新興国市場からフロンティア市場へ格下げされる可能性も取り沙汰されており、その場合、外国資本の流出を招く恐れがあると警戒されている。

一方、原油価格も米国とイランの緊張緩和を背景に急落した。主要原油先物はともに4%以上下落。トランプ前大統領が、イランとの合意に達する可能性に期待を示したことが材料視された。イランは、イスラム共和国への攻撃があれば地域全体の紛争につながると警告していた。

米国は先月の反政府デモに対するイラン政府の対応を巡り、ここ数週間、同国指導部を厳しく批判してきた。トランプ氏は軍事行動を示唆すると同時に、中東に空母打撃群を派遣するよう命じていた。イラン最高指導者アリ・ハメネイ師は日曜日、最近の抗議行動を「クーデター」に例え、米国による攻撃があれば大規模な地域紛争を引き起こすと警告した。

これに対しトランプ氏は記者団に対し、「彼がそう言うのは当然だ。合意できることを望んでいる。もし合意できなければ、彼の言ったことが正しかったかどうか分かるだろう」と述べた。

原油安にはドル高も影響した。トランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)議長にケビン・ウォーシュ氏を指名したとの報道を受け、ドルは急伸した。ウォーシュ氏は元モルガン・スタンレーの投資銀行家で、FRB理事を務めた経歴を持つ。

トランプ氏はウォーシュ氏について、「史上最高のFRB議長の一人、あるいは最高になるだろう」と評価。市場では、同氏が最終候補の中で最もインフレ抑制に厳しい人物と見られており、ドルを下支えする金融政策への期待が高まっている。

ドルは、先週の大半でホワイトハウスがドル安を容認しているとの見方から下落していたが、この発表を受けて一転して急騰した。インベスコのブライアン・レビット氏は、「ウォーシュ氏はFRB在任中、インフレリスクを理由に2008年の金融危機時でさえ利下げに反対するなど、タカ派的な発言をしてきた」と指摘した。

一方で、「近年は、生産性向上がインフレを伴わずに米国経済成長を押し上げるとの見方から、2026年に向けた政策緩和を支持している」とも述べている。

この発表を受け、ドル建てで取引される貴金属は金曜日に急落。金は一時12%安、銀は30%超下落した。月曜日も下落基調が続き、金は一時6%下落して4,586ドルまで値を下げ、銀も一時約11%安の75ドルとなった。その後やや持ち直したものの、先週記録した金5,595ドル、銀121ドルの史上最高値からは大きく水準を切り下げている。