激化する国境紛争の中で試されるASEANの力量

東南アジア地域の平和と安定を維持する地域政府間機構としてのASEAN(東南アジア諸国連合)の役割が、再び重大な試練に直面している。議長国マレーシアの下、ASEANは日増しに悪化するカンボジア・タイ紛争の仲介を試みている。

現在進行中の今回の軍事衝突は、今年2度目となり、両国国境沿いで9日間にわたって続いている。7月に発生した5日間の戦闘と同様、双方は相手側が先に攻撃を開始したと非難し合っている。

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相によると、マレーシアは、当初本日開催予定だったものの延期された12月22日のASEAN外相会議において、カンボジア・タイ国境に関する衛星監視データおよび現地観測結果を提出する予定であるという。.

アンワル首相はSNSへの投稿で、「この報告書は、説明責任、信頼醸成、そして地域の平和と安定の維持という観点から、双方の部隊配置を含む状況を客観的に示すものになる」と述べた。

同首相は昨日、国境紛争が沈静化しておらず、さらなるエスカレーションへの懸念があるため、特別会合が延期されたと説明した。延期は、タイとカンボジアの双方から要請があったという。

「しかし、戦闘停止を求める呼びかけは続けている。非常に困難ではあるが」とアンワル首相は述べ、両国と「日常的に連絡を取り合っている」ことを明らかにした。マレーシアは今後も仲介を続け、戦闘停止を強く促していくとしている。

こうした不透明な状況の中、カンボジア地域研究センター(CCRS)の上級顧問で元学者のポウ・ソティラック氏は、クメール・タイムズ紙に対し、「誰が最初に発砲したかを明らかにすることは、ASEANにとって最優先事項ではない」と語った。最優先すべきは、緊張を緩和し、再び停戦に至ることだという。

「ASEANが平和を実現するために最も重要なのは、双方が受け入れ、ASEANが中心的役割を果たして成立した停戦合意およびクアラルンプール和平合意が、誠実に履行されることを確実にすることだ」と同氏は強調した。

さらに、「タイ政府が主張するように、これらの合意を無効化することはできない。厳格に順守されてこそ、平和は達成される」と述べた。

ソティラック氏は、米国や中国を含む各国が戦闘停止を望み仲裁を試みているものの、最終的に決定的な役割を果たすのはASEANであると指摘。「もう少し時間を与え、タイに対し合意に立ち返り、カンボジアに対する過度な武力行使をやめるよう圧力をかけ続ける必要がある」と述べた。

また、停戦を再び受け入れさせるためには、ASEAN監視団(AOT)の原則に合意するだけでなく、断続的な視察にとどまらない、より実効的な対応が必要だとした。

同氏は、AOTがカンボジア・タイ国境に常設拠点を設け、直接的な監視を行い、停戦合意の順守を確保すべきだと提言した。

「誰が先に撃ったかを突き止めても問題は解決しない。解決するには、両国の軍を互いに引き離す必要がある」と述べ、「ASEANは、国境に監視団を配置する強い意思を示すべきだ」と訴えた。

ソティラック氏は、地域の平和維持者としてのASEANの評価が今まさに試されていると警告した。

「カンボジアとタイの戦闘が始まるまでは、ASEANの評価は良好だった。しかし、加盟国同士が戦争状態にあり、これを止められなければ、世界有数の平和的・安定的な地域機構と見なされてきたASEANの評判は大きく損なわれる」と語った。

一方、カンボジア資料センター(DC-Cam)のユーク・チャン所長は、ASEANにとって「引き返せない地点」が訪れる可能性があると指摘した。その段階に至れば、ASEANが何をしても、当事者双方から無関心な傍観者としか見なされなくなるという。

「問題は、すでに一方、あるいは双方がそう考えているかどうか、そして、そうでないなら、それはいつ起こるのかだ。侵略戦争を傍観した者に対して、歴史は決して寛容ではない」と述べた。

ユーク氏は、和平交渉には、双方が最初から平和を核心的目標として共有することが不可欠だと強調した。

「一方が、武力紛争こそが自らの利益を確保する最善の手段だと考え、平和を目的としない場合、その議論は和平交渉ではなく、戦争を進めるための欺瞞にすぎない」と指摘した。

同氏は、この紛争は新しいものではなく、「タイが自国の主権下にあるべきだと認識している領土を取り戻そうとする、何世紀にもわたるナショナリズムの最新の表れ」だと述べた。

タイの国家安全保障上の主張を完全に否定すべきではないとしつつも、根本的な争点は、かつて短期間ではあるが支配していた領土を取り戻そうとするタイの強い意欲にあると分析した。

さらに、「この紛争は、東南アジア地域が歴史的に内部の安全保障問題に向き合い、管理してこなかったことの副産物でもある」と述べ、「タイ軍は、自らの意思を押し通せば、抑制も処罰も受けないと考えている」と警鐘を鳴らした。