カンボジアとJICA、インフラ及び産業成長分野での協力拡大を協議

カンボジア王国政府と国際協力機構(JICA)は、昨日、経済協力の拡大について協議を行い、インフラ整備の拡充、デジタル変革の促進、沿岸地域における産業・物流拠点の発展を重点的に取り上げた。

この会談は、プノンペンの平和宮殿(ピースパレス)において、フン・マネ首相と田中明彦(たなか・あきひこ)JICA総裁、および佐貫一正(さぬい・かずまさ)JICAカンボジア事務所長との間で行われた。

田中総裁は、約10年ぶりとなる今回の訪問に際し、カンボジアのインフラ整備、統治能力、経済実績における顕著な進展を高く評価した。
また、JICAがカンボジア王国政府の長期的成長路線を支える主要開発プロジェクトへの支援を継続する決意を改めて表明し、インフラ、水資源管理、エネルギー拡大、人材育成などの分野での持続的な協力を強調した。

さらに、田中総裁は、日本が支援する主要プロジェクトとして、シアヌークビル港(PAS)の拡張事業およびカンボジア地雷対策センター(CMAC)による訓練支援を挙げた。これらの取り組みは近年、ウクライナ国家緊急事態庁への人道的地雷除去支援にも拡大している。

また、同総裁は、日本の政府開発援助(ODA)による譲許的資金貸付プロジェクトについても言及し、ニロット給水システム事業およびプノンペン市送配電網拡張事業(第3期)の署名が同日中に行われる予定であると明らかにした。

フン・マネ首相は、日本がカンボジアの平和構築および社会経済発展に果たしてきた継続的な役割に対して深甚なる謝意を表明し、両国関係が現在では「包括的戦略的パートナーシップ」の水準に達し、相互繁栄と地域の安定に寄与していると述べた。

さらに首相は、JICAが地雷除去、インフラ整備、人材育成など、カンボジア経済発展の基盤を築く上で果たした重要な貢献に対して感謝の意を表した。
「これらの分野は、国家の強靭性と包摂的成長に大きく寄与している」と首相は述べた。

フン・マネ首相はまた、シアヌークビルを中心とする沿岸諸州を競争力ある産業地帯および地域物流拠点へと変革する構想を共有した。
この取り組みにより、高付加価値投資の誘致、輸出の促進、持続可能な雇用の創出を図る方針である。

両首脳は、情報技術(IT)、デジタル化、人材開発などの分野での協力強化についても協議し、カンボジアの長期的なデジタル経済戦略との整合を図るとともに、人的交流の拡大を通じて相互理解と協力関係を一層深めることで一致した。

首相は、JICAに対し、関係省庁や機関との緊密な対話を継続し、現在および将来の開発プロジェクトの効果的な実施を確保するよう奨励した。

田中総裁は、カンボジアが日本海外協力ボランティア(JOCV)の最初の受け入れ国であることに謝意を示し、今年で日本のボランティア活動開始60周年を迎えることを歓迎した。

なお、昨年2024年9月23日、カンボジア王国政府とJICAは、プノンペン市送配電網拡張事業(第2期)に関する貸付契約に署名している。
この事業の目的は、新たな変電所、送電線、配電線および関連施設の整備と既存変電所の増強を通じて、プノンペンにおける電力供給の安定性を向上させることにある。