カンボジアと日本は、水供給の拡大および電力送配電システムの改善を目的とした、総額約2億9,620万ドル(約433億円)にのぼる2件の円借款プロジェクトの協定に署名した。
署名式は水曜日、プラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣と、駐カンボジア日本国特命全権大使の上野篤史氏との間で行われた。
両者は、日本の政府開発援助(ODA)による円借款供与に関する交換公文および関連文書に署名した。
最初のプロジェクトは、「ニロド水供給拡張計画」であり、約215億3,000万円(約1億4,350万ドル)の融資が提供される。
この計画は、都市部で増加する需要に対応するため、清潔な水の供給・分配体制を強化することを目的としている。
2つ目のプロジェクトは、「プノンペン市送配電システム拡張計画(第3期)」で、約229億1,000万円(約1億5,270万ドル)の融資が実施される。
このプロジェクトは、首都プノンペンの電力ネットワークを改善し、都市の拡大に伴って企業や家庭に対して安定的かつ信頼性の高い電力供給を確保することを狙いとしている。
こうした継続的な資金支援は、日本がカンボジアの社会経済発展に対して揺るぎないコミットメントを示している証であり、両国の「包括的戦略的パートナーシップ」を一層強化するものとなる。
国際協力機構(JICA)によると、カンボジア政府は2030年までに全国民が安全な水にアクセスできるようにすることを目標としており、国家開発計画の下で都市部における完全普及を目指している。
プノンペンでは、日本政府および他のパートナーの支援により、水処理施設および配水システムが整備され、現在では90%以上の地域で24時間の給水が実現している。
しかし、急速な都市拡大と経済成長によって水需要が供給能力を上回る状況となり、一部地域では水圧低下が発生している。
「水圧の低下は水質悪化のリスクを伴うため、供給能力の向上が急務です」とJICAは指摘している。
この課題に対応するため、プノンペン水道公社(PPWSA)は「ニロド水処理場拡張計画」を実施することを決定した。
同プロジェクトでは、市中心部から南東約8キロに位置するニロド水処理場を拡張し、給水能力を増強する。
PPWSAは、この「ニロド水供給拡張計画」の実施支援をJICAに要請しており、同計画は都市のマスタープランにも組み込まれている。
現在、計画道路に沿って配管ルートを設置するための許可取得手続きが進められている。
同時に、カンボジア側では日本のODA融資を受けて「プノンペン市送配電システム拡張計画(第3期)」も着実に前進している。
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