「3」の力

2024年の世界市場を規定する、今後数カ月間の主要な経済・金融イベントと注目すべき観測。

インフレ目標3

米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)が2%のインフレ目標を掲げているが、地政学的緊張、サプライチェーンや天候の混乱、粘り強い頑迷なインフレといった「新しい世界秩序」の中では、簡単に達成できないかもしれない。

前述の理由から、3%のインフレ目標がより合理的に見える。

2%というユートピアの目標を維持することは、金利を「より長く」維持することになり、他の多くの市場・経済や通貨にとって良い結果をもたらさないだろう。

影響力のある3つの中央銀行

世界はFRB、BOE、ECBを注視し、金利に関する次の行動を待っている。

誰が最初に利下げを行うのだろうか?
経済データと最近のシナリオを見る限り、ECB、BOE、FRBの順で、ECBの利下げは早ければ2024年6月に、FRBの利下げは経済データに予期せぬサプライズがない限り、2024年第4四半期(先物は4月24日の雇用統計に基づいて9月24日を指している)になりそうだ。

その行動(あるいは不作為)は世界市場に影響を与えるだろう。

3ヶ月に渡る一貫した「自信に満ちた」データ。

私は、この3つの中央銀行がピボットを行う前に必要なのは、これだと考えている。インフレが緩和していることを示す一貫した説得力のあるデータが3ヵ月続けば、最初の利下げが実現する確信が得られるだろう。

エピローグ 2024年4月の非農業部門雇用者数は市場にいくらかの救いを与えたが、問題は、これが(雇用・給与の減少という)トレンドになるのか、それとも今後数カ月でさらなる変動が起こる単なる異常になるのか、ということだ。
[レイモンド・シアは現在カナディア・バンクのCEOであり、銀行、外国為替、リーダーシップに関する経験豊富な講演者・コラムニストである。上記は筆者の個人的見解であり、筆者が代表を務める金融機関を反映するものではありません]。