カンボジア王国国連代表部は、カンボジア情勢に関する国連特別報告者ヴィティット・ムンターボーン氏に対し、カンボジアとタイの国境沿いで発生している武力衝突に関連した人権問題について「有意義かつ実質的に取り組む」ことを強く求めた。
代表部は声明で、2025年11月20日付で発出されたムンターボーン特別報告者のニュースリリースに謝意を示しつつも、「同リリースは、カンボジア・タイ国境における武力衝突に関連する人権問題を十分に扱っていない」と指摘した。
声明では以下の点が強調された。
1. カンボジア・タイ国境で続く武力衝突に関するムンターボーン氏の最初の公的声明は、人権および人道法上の問題が報告される中、特別報告者による迅速な関与の必要性に対する懸念の声を受けて発出されたものである。
2. カンボジアは公的声明の発出自体は評価するものの、国連人権理事会を含む国際フォーラムで提起されてきた具体的かつ重大な懸案事項には、より詳細で焦点を絞った対応が必要だとしている。現在までの一般的かつ広範な言及では、提出された資料や民間人が直面する差し迫った危険性を十分に反映していないと指摘した。
3. カンボジアは、特別手続きの独立性・公平性・専門性・相応の注意義務に関する基準が、人権理事会決議5/2で採択された「マンデート保持者の行動規範」に明記されていることを想起した。規範は、マンデート保持者に対し、客観的・正確かつ具体的な対応を求め、関係国から提出された情報を誠実に検討するよう義務付けている。カンボジア側が一貫して提出している証拠や法的懸念が、いまだ実質的に取り扱われていない点について遺憾の意を示し、今後は規範に沿った透明性と明確さをもって対応することへの期待を表明した。
4. 国境沿いの民間人が深刻な危険にさらされている現状を踏まえ、より包括的な関与が必要であるとカンボジアは強調した。特別報告者は問題に率直かつ実質的に接近すべきだとしており、ムンターボーン氏が行動規範を順守し、提示された懸念事項を慎重に検討することが、特別手続き制度の信頼性強化につながると述べた。
最後に、カンボジア国連代表部は、国境地域で人権侵害の危機に直面する民間人に関して、特別報告者が適切かつ迅速に対応するよう改めて促すとともに、カンボジアは国連人権メカニズムとの建設的協力に引き続き取り組む姿勢を示し、武力衝突に伴う人権問題に関する有意義で実質的な対話を期待すると述べた。