カンボジア国王、新たなイスラエル大使を接見 両国関係強化へ

カンボジアのノロドム・シハモニ国王は24日、新たに着任したイスラエルのアロナ・フィッシャー=カム駐カンボジア大使(兼任)を王宮で接見し、信任状の奉呈を受けました。これにより、大使は正式に任務を開始しました。

式典は王宮の玉座の間で行われ、両国の長年にわたる友好関係と、今後の二国間関係のさらなる強化に向けた意志が改めて示されました。
国王は大使の着任を祝し、その任務が両国の友好と協力の深化につながることへの期待を述べました。

フィッシャー=カム大使は、カンボジア政府や関係機関と緊密に連携し、両国関係の一層の発展に取り組む姿勢を示しました。

翌日には、農林水産省でディット・ティナ大臣が大使と会談し、特に農業分野での協力拡大について意見交換が行われました。
ティナ大臣は、イスラエルがカンボジア農業の近代化を支援してきたことに謝意を示したうえで、イスラエルで研修を受けるカンボジア人農業学生への支援拡大を要請しました。特に、安全対策の徹底と質の高い実務研修の提供を求め、学生が高度な知識と技能を十分に身につけられる環境づくりの重要性を強調しました。

さらに同大臣は、カンボジア国内の3つの農業教育機関や王立農業科学院を通じ、農業研究や技術開発で両国がより深く連携できる可能性があると述べました。パートナーシップ強化により、生産性向上や強靱性の確保、長期的な成長につながる先端技術や新技術の共有が期待されるとしています。

ティナ大臣はまた、現在イスラエルで研修中のカンボジア人学生の安全と福祉を引き続き最優先事項として扱うよう求めました。

フィッシャー=カム大使は現在、タイ駐在イスラエル大使およびカンボジアへの兼任大使を務める上級外交官です。テルアビブ大学で政治学博士号を取得し、研究ではイスラエルが欧州左派の知識人・メディアでどのように描かれているかを主に扱いました。

ヘブライ語、英語、フランス語、スペイン語に堪能で、これまで欧州や北アフリカで数多くの外交任務を経験。2016年から2020年まではセルビア駐在大使、モンテネグロ兼任大使を務め、2022〜2023年にはラバト、2023〜2024年にはパリのイスラエル大使館で公使参事官として勤務しました。

現職に就く前には、イスラエル国防大学で講師を務めたほか、外務省の研修部門で要職を歴任。マドリードやパリでの勤務経験もあり、反ユダヤ主義に対抗する教育活動にも積極的に携わってきました。特に、第二次世界大戦期のベオグラード旧展示場跡における記念施設設立への支援を呼びかけるなど、ホロコースト記憶の継承に向けた取り組みを続けています。