農林水産省の代表はこのほど、カンボジアの各州で米と魚、米とエビの統合養殖システムを促進・開始するため、中国の農業専門家からなる1週間の研究代表団を受け入れ、国をまたいだ視察を行った。
農林水産省漁業局養殖開発部のテー・ソモニー部長率いる技術チームとともに、上海海洋大学の研究チームは、農産物の二国間貿易を強化する目的で、カンボジアと中国の政府間で「魚米回廊」を構築するための協力の一環として、4月下旬にカンボジアのいくつかの州を視察した。
調査団は、統合農場拡大のための新たな場所を調査するとともに、前回の訪問で建設に協力したタケオ州の米エビ養殖実証農場3カ所を訪問し、現地で30人以上の農家に理論と技術指導を含む研修コースを提供した。
今回の調査団は、事前調査の効果を評価するとともに、兼業農家の拡大を管理できるよう、プロジェクトの現場でより包括的な人材育成を行うことに重点を置いた。
1週間にわたる研究展示の後、研究チームのリーダーで上海海洋大学水生生命科学部の呉秀雁教授は、「魚米回廊」の構築における両国の協力には大きな可能性があることを確認した。
しかし、カンボジアの農業事情は中国とは異なることが多く、米と養殖を同時に栽培し、生産量を向上させるためには、貯水池の改善など、基本的なインフラに変更を加える必要があると指摘した。
中国の稲作と養殖を同時に行うパターンとは異なり、カンボジアの多くの地域では、乾季と雨季のどちらか一方しか稲作や養殖を行うことができない。
彼は、カンボジアの養殖セクターの大部分は、「小規模な養殖、典型的な家族経営の農場、未発達の技術と完全な産業サプライチェーンの欠如 」のままであると述べた。
このような現状は、生産性の低さと魚の飼料コストの高さを招いている。
カンボジアの稲作面積は約330万ヘクタールだが、全国の淡水池での養殖面積はわずか1,350ヘクタールで、潜在的な可能性のほんの一部に過ぎない。
このような養殖と水田の統合システムの欠如が、カンボジアの淡水エビやティラピアなどの水産物の供給不足と市場価格の高騰につながっている、と呉教授は述べた。
しかし、このような課題にもかかわらず、正しい指導があれば、この分野には大きな可能性があると教授は考えている。
中国の専門家による最近の訪問は、2021年に始まり2023年まで続いた、カンボジア国内での中国の専門家による一連の農業開発への関与に続くものである。
それ以前の遠征では、専門家たちは農水省と協力し、タケオ州での米エビの実証養殖の開始とともに、瀾滄江・メコン川地域における稲作養殖と養殖による貧困削減に関する技術協力に焦点を当てた、より広範なプロジェクトを実施した。
それ以前は、現地の状況をより深く知ることに重点を置いてきたが、呉氏によると、プロジェクト・チームは現在、規模の効率化によって取り組みを最適化できるような取り組みに移行しているという。
そのために、チームはまず地元のカンボジア人が漁業資源を保護できるように支援することから始め、近い将来、大規模な稲作魚の養殖や池での養殖の実践へと事業を拡大する予定だと呉氏は語った。
2023年9月にカンボジア政府と中国政府の間で調印された「魚米回廊」協力協定は、農業経済の進化を推進するため、養殖、農産物加工、生態系農業、新しい農業技術の導入、人材育成など、カンボジア国内のさまざまな食料生産分野の強化に焦点を当てている。
この政策は、カンボジアの農業生産能力を向上させ、そうすることで両国間の貿易を強化することを目的としている。