国際金融公社が実施した最新の調査によると、カンボジアの国内貿易金融市場は現在16億ドルに達しており、手頃な価格の貿易金融へのアクセスを改善することで、輸出入を最大9％増加させることができるという。
地域貿易金融調査シリーズの第2弾となる本調査は、地域の貿易金融エコシステムを分析し、輸入業者と輸出業者が金融機関からの支援を改善することで国際貿易を拡大する方法についての洞察を提供するものである。報告書によれば、貿易金融のコストを削減するよりも、その適用範囲を拡大することの方が重要である。
貿易金融の機能は、取引に第三者を導入して支払いリスクと供給リスクを取り除くことである。貿易金融は、輸出業者には契約に従って債権または代金を提供し、輸入業者には貿易注文を履行するための信用供与を行う。
カンボジアにおける主な貿易金融の手段は、信用状、保証と反対保証、待機信用状、書類による回収、入札/履行保証、貿易に使用される一般的な運転資金、出荷後の融資、設備輸入融資、輸出前融資、サプライチェーン融資、その他の形態の輸入融資、気候変動に特化した提供などである。
調査の結果、カンボジア、ラオス、ベトナムからなるメコン3地域の貿易成長にはばらつきがあることが明らかになった。外資系企業による輸出は、現地資本のサプライチェーンによる輸出を上回っている。この調査によると、現地の貿易金融はほとんど利用されていないだけでなく、コストが高く、細分化され、伝統的である。
2022年、ベトナムの輸出入のうち、国内銀行が支援したのはわずか21％であった。カンボジアとラオスでは、この数字は3％未満であった。貿易業者が国内銀行からの支援を求めなかった主な理由として、高い担保要件と煩雑な申請プロセスを挙げている。
国際金融公社 のマネージング・ディレクターであるマフタル・ディオップは、この調査に関するIFCの見解の中で次のように述べている 「貿易金融に対する制約に対処し、新興市場に対するその潜在的可能性を最大限に実現するためには、民間セクター、政策立案者、金融機関、国際機関が協調して行動する必要がある。」
この研究では、サプライチェーンファイナンスや革新的なデジタルサービスなど、コスト削減とアクセス向上のための手段を開発することを推奨している。そのためには、担保要件、デジタル取引、中央銀行の条件、説明責任の枠組みなどに対応する規制の枠組みを強化する必要がある。また、中小企業や地元サプライヤーが貿易金融にアクセスする方法についての認識を高めることも提言している。
同調査によれば、メコン3地域は世界で最も統合された貿易主導地域のひとつであり、貿易対GDP比は3経済圏すべてで100％を超え、カンボジアとベトナムではそれぞれ210％と185％を超えている。「これは世界平均の62％より3倍以上高く、カンボジアとベトナムは東南アジアの貿易リーダーになった。
同書は、ベトナム経済はカンボジアよりも輸出入の両面で多角化していると指摘する。「カンボジアは、輸出の半分近くを占める衣料・繊維産業に大きく依存しており、残りの半分を機械やその他の消費財が占めている。衣料品、履物、米、キャッサバ、観光サービスなど、一握りの主要な製品とサービスがカンボジアの輸出バスケットの大半を占めている。」
カンボジア、ベトナム、ラオスの経済多様化パターンを強調し、この3カ国は新しい輸出市場へのアクセスを拡大していると述べた。カンボジアとベトナムは、輸出市場の拡大において目覚ましい進歩を遂げ、輸出の浸透率を著しく高めている。特にベトナムの輸出業者は、マレーシアやタイの輸出業者と同等の市場アクセスを達成している。ラオスもまた、緩やかなベースではあるが、輸出浸透率を高めることに成功している。
ベトナムからの輸出品目数はそれほど伸びていないが、輸出業者は市場の多様化に成功している。この傾向は、世界貿易の再構築によってベトナムに余剰生産能力が生まれ、中国から米国へのルートを超えた貿易の拡大につながったことを示唆している。
この発展の顕著な例は、ベトナムの対米輸出において支配的なカテゴリーである放送機器の輸出において明らかである。このセクターの輸出業者は、2010年には113の世界市場に進出していたが、2021年には130の市場に拡大し、市場アクセスは15％増加した。
