米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けた中東情勢の混乱を背景に、週明けのアジア市場では原油価格が急騰し、株式市場は下落した。世界の海上原油輸送の約2割が通過するホルムズ海峡が事実上封鎖状態となり、複数の船舶が攻撃を受けたことが市場の不安を強めた。
国際指標であるブレント原油は、アジア時間早朝の取引で1バレル=80ドルを突破。前週金曜日の終値72.87ドルから大幅に上昇した。その後やや値を下げたものの、79ドル前後の高値圏で推移している。
株式市場では、東京市場の日経平均株価が序盤で2.2%下落。シドニー市場も0.5%安となった。一方、安全資産とされる金価格は2%上昇した。
攻撃は土曜日に始まり、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ氏が死亡したと伝えられている。原油価格は攻撃前から上昇基調にあったが、事態の深刻化を受けて一段高となった。
ドナルド・トランプ米大統領はイラン国民に政府への蜂起を呼びかけ、「戦闘は4週間続く可能性がある」と発言した。
イランは湾岸地域で報復としてミサイルや無人機による攻撃を実施。UAE外務省によれば、4人が死亡、数十人が負傷した。
イランはホルムズ海峡の正式な封鎖は発表していないが、革命防衛隊は同海峡の通航に警告を出している。英国海事安全機関によると、日曜日にはオマーン沖とUAE沖で少なくとも2隻の船舶が攻撃を受けた。
分析会社の専門家は、保険料の高騰により航行が困難になると指摘し、原油価格が1バレル=90ドルに達する可能性があるとの見方を示した。主要海運会社も同海峡の通航停止を表明している。
代替輸送インフラの活用は可能とされるが、封鎖が続けば日量800万〜1,000万バレルの供給が失われるとの試算もある。OECD加盟国は90日分の石油備蓄を保有しているものの、価格が100ドルを超える展開も否定できない。
一部の専門家は、高騰する原油価格が米政権にとって弱点になり得ると指摘する。米国では年末に中間選挙を控えており、エネルギー価格の動向が政治にも影響を与える可能性がある。
天然ガス価格も上昇が見込まれる。カタールは液化天然ガス(LNG)の主要輸出国であり、エネルギー価格の上昇はインフレ圧力を強める恐れがある。
原油価格が前回100ドルを超えたのはウクライナ戦争開始時で、当時はガス価格も急騰し、長期的な物価上昇を招いた。
専門家は、ガソリン価格やエネルギーコスト、輸送費の上昇に加え、航空業界の収益減少が経済成長に悪影響を及ぼす可能性があると警告。「短期間であれば影響は限定的だが、長期化すれば景気後退圧力が強まる」としている。
市場では防衛関連銘柄が上昇する可能性がある一方、航空、海運、観光関連株には下落圧力が強まるとの見方が出ている。