カンボジアのチアン・ラ保健相は水曜日、テチョ国際空港を緊急視察し、インドでニパウイルス(Nipah virus)の感染例が確認されたことを受け、国境での健康検査の強化および緊急対応訓練の実施を指示した。
インドで2例の感染が確認されたことを受け、カンボジアを含むアジア各国では、ウイルスの拡大を防ぐため空港での検疫体制を強化している。
ラ保健相は、感染症管理局(CDC)の幹部、空港当局、関係機関の責任者らとともにテチョ国際空港を訪れ、特にアジア各国で発生が報告されているニパウイルスの侵入防止策を中心に、感染症の水際対策の実施状況を確認した。
視察の中でラ保健相は
「ニパウイルスを国内に持ち込ませないため、最大限の警戒が必要だ。今日の予防が、明日の安全を守る」
と述べた。
ニパウイルスは動物から人へ感染する人獣共通感染症で、汚染された食品や人から人への接触によっても感染する可能性がある。症状は無症状から急性呼吸器疾患、脳炎まで幅広く、致死率は40~70%とされている。
また、豚などの動物にも感染し、農家に深刻な経済的被害をもたらす可能性がある。
同ウイルスは1990年代にマレーシアとシンガポールで初めて確認され、当時は約300人が感染し、100人が死亡した。果実を食べるコウモリや豚、人から人への感染が知られているが、現在のところワクチンはなく、治療は高熱、けいれん、嘔吐などの症状を緩和する対症療法に限られている。
アジアでは大規模な流行はまれとされるものの、多くの動物に感染し、人にとって致命的となり得るため、深刻な公衆衛生上の懸念とされている。
保健省によると、これまでカンボジア国内で人への感染は確認されていないが、過去にコウモリからウイルスが検出された例はある。ラ保健相は、国内での発生は報告されていないものの、地域社会への侵入を防ぐことが省の重要な責務だと強調した。
同相は、疑い症例を想定した模擬訓練の実施を指示し、発見、隔離、治療、安全な退院手続きまでの一連の対応を確認するよう求めた。
感染症管理局(CDC)は、現在も状況を注視し、万が一の発生に即応できるよう準備体制を強化していると発表している。
一方、インドでは西ベンガル州で新たな感染への対応が進められているが、インド保健・家族福祉省は、流行はケララ州のコジコード県とマラップラム県の2地区に限定されており、一般市民への差し迫ったリスクはないとしている。