米国、ベネズエラ沖で原油タンカーを拿捕 ベネズエラは非難

米国は土曜日、ベネズエラ沖で原油タンカー1隻を拿捕したと発表した。これに対し、ベネズエラ政府はこの行為を「窃盗および拉致」と非難し、ワシントンによる圧力強化の一環だと反発している。米軍がこの地域でタンカーを阻止したのは2週間で2度目で、数日前にはトランプ大統領がベネズエラに向かう、または同国を離れる「制裁対象の原油船」に対する封鎖を発表していた。

米国土安全保障長官クリスティ・ノーム氏はXへの投稿で、「土曜未明、米沿岸警備隊が国防総省の支援を受け、ベネズエラに寄港していた原油タンカーを拿捕した」と述べた。投稿には、洋上の大型タンカーの甲板上空をヘリコプターが旋回する様子を捉えた約8分間の航空映像が添えられていた。

カラカス政府は声明で、今回の拿捕を「窃盗および拉致」と断じ、「これらの重大な事件に関与した者は、法と歴史の前で責任を問われる」と非難した。

米国土安全保障省は拿捕された船舶を「センチュリーズ」と特定し、「米国の制裁対象となる原油を積載していた疑いがある」と説明した。オンラインサービスによると、センチュリーズは中国資本でパナマ船籍の原油タンカーで、今月初めにベネズエラの港で原油180万バレルを積み込み、12月18日に同国の排他的経済水域外へ護送されたという。船舶追跡データベースでも最終位置はベネズエラ沖とされるが、AFPの調査では同船は米財務省の制裁対象リストには含まれていなかった。

ホワイトハウス副報道官はXへの投稿で、このタンカーが制裁対象のベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の原油を積載していたと主張し、「ベネズエラの『影の船団』の一部として活動する、虚偽の船籍を掲げた船舶だ」と非難した。12月10日にも米軍はベネズエラ沖で大型原油タンカーを拿捕しており、司法長官は同船が制裁対象原油をベネズエラからイランへ輸送していたと述べている。

米国は数カ月にわたり、ラテンアメリカの麻薬取引対策を名目にカリブ海で大規模な軍事展開を進めてきたが、その矛先は特にベネズエラに向けられている。

ベネズエラ国防相は首都カラカスでの公的行事で、「虚偽、操作、干渉、軍事的脅威、心理戦との闘いを続けている」と述べ、「われわれは脅かされない」と強調したが、拿捕された船舶についての直接的な言及はなかった。

外相は、主要な同盟国の一つであるイランが、米国による「海賊行為および国際テロ」に対抗するため、「あらゆる分野で支援を提供している」と述べた。

現在、カリブ海には米国の軍艦11隻が展開しており、世界最大の空母1隻、強襲揚陸艦、揚陸輸送艦2隻、巡洋艦2隻、駆逐艦5隻が配備されている。