ASEAN特別会合、タイに戦闘停止を受け入れさせることできず

ASEAN(東南アジア諸国連合)外相による特別会合が昨日開催されたが、カンボジアとタイの即時停戦合意には至らなかった。ただし、両国は、明日予定されている両国間の一般国境委員会(GBC)会合を条件として、10月26日の和平合意に立ち返ることでは原則的に合意した。

「カンボジア・タイ情勢に関するASEAN外相特別会合」はクアラルンプールで開催され、マレーシアのモハマド・ハサン外相が議長を務めた。会合では両国間の国境紛争が協議され、「地域の平和と安定、ならびに外交と対話を通じた紛争の平和的解決に対するASEANの集団的責任」が強調された。

冒頭演説でモハマド外相は、紛争の激化は両国関係のみならず地域全体の安定、さらにはASEANの信頼性そのものを脅かすと警告した。

「高度に相互依存したASEANと世界において、安全保障上の衝撃はASEAN全体の問題であり、国際社会全体の懸念事項だ」と述べ、事態がさらに悪化すれば、ASEANが「現代史において最も平和で成功した地域機構の一つ」として築いてきた評価を損なう恐れがあると指摘した。

また、ASEANは平和を中核とする政治・安全保障共同体として設立されたことを改めて強調し、不干渉、紛争の平和的解決、武力行使の放棄といった基本原則は今なお有効であると訴えた。

「敵対行為の停止と平和的解決を最優先事項としなければならない」と述べ、7月に戦闘が始まって以降、アンワル・イブラヒム首相主導で行われてきたマレーシアの集中的な仲介努力にも言及した。さらに、「ASEANは地域の平和と安定を守るため、必要なことはすべて行うべきだ」と強調し、紛争が人々の生活に及ぼす影響を考慮するよう各国に求めた。

しかし、会合では停戦合意には至らなかった。

現地から取材したカンボジア記者クラブ会長のプイ・ケア氏によると、タイのシハサク外相は、①カンボジアが先に停戦を宣言すること、②戦闘を開始したのがカンボジアであると認めること、③地雷除去でタイと共同作業を行うこと、という三つの要求を改めて主張したという。

これに対し、カンボジアのプラック・ソコン副首相兼外相は、昨日深夜からの即時停戦を提案した。タイ側はその後、停戦要請を文書で提出するよう要求した。会合は午後2時頃、公式な合意に至らないまま終了し、その後、両外相はマレーシア側を交えた三者協議に臨んだ。

同筋によると、両国はモハマド外相の立ち会いのもと、クアラルンプール和平合意を再開することで一致したという。これを受け、停戦の実施と検証を協議するための臨時GBC会合が明日開催されることが発表された。

昨日午後4時頃、ASEAN議長国は声明を発表し、両国に対し即時の戦闘停止、最大限の自制、対話への回帰を強く求めた。声明では、戦闘による多数の死傷者、民間インフラの損壊、住民の避難に「深刻な懸念」が示された。

また、影響を受けた民間人が安全に自宅や生計手段へ戻れるよう、妨げのない環境を確保することを求めた。ASEANは、アンワル首相に加え、米国のドナルド・トランプ大統領や中国による和平促進の関与も歓迎するとした。

さらに、相互信頼の回復、二国間枠組みを通じた対話の再開、ASEAN議長国の仲介の活用を促し、人道的地雷除去協力やASEAN監視団の下での軍事的緊張緩和措置の実施を求めた。今後のGBC会合で停戦再開が議論されることへの期待も表明した。

これを受け、中国はASEAN主導の緊張緩和努力を強く支持すると表明した。中国外務省の郭嘉昆報道官は、両国がASEANの重要な加盟国であるとした上で、特にマレーシアの役割を評価した。

中国は「両国の友人であり近隣国」として、早期の戦闘停止と平和回復を強く望むとし、外相同士の電話会談や特使派遣などを通じて緊張緩和に取り組んでいると説明した。

一方、タイ外務省は声明で「国家の利益、主権、領土保全を尊重した上で協議に応じる用意がある」とし、「平和を望んでいるが、持続可能な平和には国民の安全が不可欠だ」と述べた。

カンボジア地域研究センターのポウ・ソティラック上級顧問は、戦闘が長引けば両国に深刻な損害をもたらし、隣国としての関係修復が困難になると指摘。「戦争は破壊しか生まない。最悪の場合、後戻りできない地点に達する」と述べ、カンボジアは自衛のために反撃しているだけだと主張した。

また、タイが停戦要請をカンボジアに先に出させようとするのは、カンボジアが先に攻撃したと認めさせる狙いがあるとして、決して受け入れられないとした。

カンボジア文書センターのユーク・チャン所長も、タイの条件で停戦を再開すれば、国際法違反を事実上容認することになると批判した。

「これほど悪い前例は考えられない。これらの要求は、戦争継続を覆い隠すための口実にすぎない」と述べた。