カンボジア最大の商業銀行であるABA銀行は、英フィナンシャル・タイムズ・グループ傘下の国際金融専門誌「ザ・バンカー」より、2025年の「カンボジア銀行・オブ・ザ・イヤー」に選出された。今回の受賞は、堅調な業績、優れたイノベーション力、そしてカンボジア経済の持続的発展への継続的な貢献が評価されたものだ。
デジタル・イノベーション
「ザ・バンカー」は、主力アプリ「ABA Mobile」の継続的な機能強化を高く評価し、ABAが国内におけるデジタルバンキングのリーディングバンクとしての地位を確固たるものにしている点を強調した。
アプリ内チャット、FacePass Secure、AIアシスタント「Navi」、高度化された分析ツールなどの新機能は、数百万人の利用者に対し、よりシームレスで安全、かつ個別化された銀行体験を提供している。これにより利便性が向上しただけでなく、デジタル取引における信頼性と安全性も強化された。
利用実績も順調で、アプリ内チャットでは20万件以上のメッセージがやり取りされ、Naviは導入から2か月で約43万人の顧客に利用された。法人向けデジタルバンキングの更新も奏功し、2024年5月から2025年5月にかけて取引量は50%増加した。全国500万人を超える顧客にとって、ABA Mobileは個人・企業双方の日常的な資金管理の中核的なプラットフォームとなっている。
グリーン・ファイナンス
ESGへの取り組みの一環として、ABAはカンボジア初となるグリーン・プロジェクトボンドにおける最大の投資家となった。この債券は、同国の太陽光発電インフラを支援する目的で発行されたもので、コンポンチュナン州に建設される出力60メガワットの太陽光発電所に充当される。年間130ギガワット時を超えるクリーンエネルギーの発電が見込まれており、商業銀行が持続可能な開発を後押しできることを示す象徴的な事例といえる。
コミュニティ支援
ABAのCSR(企業の社会的責任)活動は、教育とデジタル・リテラシーを重視してきた。AMT奨学金やカンボジア・チルドレンズ・ファンド(CCF)などの教育プログラムと連携し、若者の学習機会の拡大を支援している。さらに、学校や地域社会へのコンピューター寄贈を通じて、テクノロジー主導型経済に不可欠なデジタル技能の習得を後押ししている。
今後の展望
今回の受賞は、ABA銀行にとって7度目となる。アスハット・アジカノフ最高経営責任者(CEO)は、「『ザ・バンカー』からの評価を大変光栄に思う。この賞は、常に私たちを信頼してくださるお客さまに捧げたい」とコメントした。
さらに、「本受賞を励みに、デジタル・イノベーションの推進、持続可能性への取り組みの強化、そして地域社会への支援を通じ、カンボジアの銀行業界の未来を形作っていきたい」と述べた。
ABA銀行は今後も、銀行サービスの質の向上、金融アクセスの拡大、そしてカンボジアおよび地域全体の持続可能な経済発展への貢献を目指す方針だ。
「ザ・バンカー」誌について
「ザ・バンカー」は1929年創刊の世界有数の金融専門誌で、世界180か国以上において、CEO、CFO、企業財務責任者、中央銀行総裁、金融規制当局者らに読まれている。1970年から続く「トップ1000世界銀行」ランキングは、銀行業界の健全性と規模を測る国際的な指標として高い評価を受けている。