カンボジアの公的債務、2025年第3四半期末で120億ドル超に到達

カンボジア王国政府の公的債務残高は、2025年第3四半期末時点で126億2,000万ドルに達した。これは、経済財務省が昨日発表した最新の「カンボジア公的債務統計ブリテン」で明らかになった。

総債務のうち、99%にあたる124億9,000万ドルは対外公的債務で、二国間開発パートナーから60%、多国間パートナーから40%調達されている。残る1%(1億3,349万ドル)が国内公的債務となっている。

公的債務の通貨構成は多様化しており、米ドルが46%、特別引出権(SDR)が18%、日本円が11%、人民元が10%、ユーロが9%、その他通貨および現地通貨が6%を占める。

第3四半期には、政府は新たに1億ドル(SDR 7,286万相当)のコンセッショナルローンを締結。2025年1月から9月までの開発パートナーとの新規借入契約は総額2億9,777万ドル(SDR 2億1,696万)となり、法律で認められたSDR 20億の借入上限の11%にとどまった。

新規契約のうち17%が二国間、83%が多国間によるもので、新規借入額は前年同期比で約72%減と大幅に縮小した。しかし、締結された新規ローンは依然として高度な譲許的条件で、平均グラント要素は約39.9%だった。政府は、これらのローンは持続的な経済成長と国の生産性向上を支える優先公共投資プロジェクトに充てられると説明している。

執行面では、2025年第3四半期に既存の譲許的借款から2億641万ドルが引き出され、年初から9月までの累計は5億9,214万ドルとなった。内訳は二国間が49%、多国間が51%で、インフラ開発が87%、その他の優先分野が13%を占めた。執行額は前年同期比で約31%減となった。

債務返済も活発で、第3四半期だけで2億6,611万ドルを返済。年初からの累計返済額は5億6,307万ドルに達した。このうち5億2,507万ドルが対外公的債務で(元金4億2,122万ドル、利子・手数料1億386万ドル)、3,798万ドルが国内公的債務だった。返済額は前年同期比で約21%増で、債務の償還構造の進展と周期的な返済スケジュールが反映されている。

経済財務省による2025年第3四半期の債務持続可能性分析(暫定値)では、カンボジアの公的債務は引き続き「持続可能」で「リスクは低い」と評価された。主要指標は国際基準を大きく下回っている。

公的債務のGDP比(現在価値ベース)は18.8%で、上限とされる55%を大きく下回る。また、公的および公的保証付き対外債務のGDP比(現在価値)は18.4%で、基準値40%と比べても十分に低い水準である。

報告書は、世界的な金融環境の変動や地域情勢の不確実性が続く中で、政府が慎重な債務管理に引き続き取り組んでいる点を強調している。アウン・ポンモニロット副首相兼経済財務相は、カンボジアの公的債務は「管理可能」で「持続可能」、かつ「リスクは低い」と述べ、責任ある借入方針の厳格な遵守を強調した。

同相は、安定維持には、明確な法的枠組み、詳細な政策と手続き、有能な機関、人材、そして債務リスクを分析・監視するITシステムに基づく強固な公的債務管理システムが不可欠だと説明した。

政府は「財政規律の維持」「譲許的条件の借入」「持続的成長と生産性向上に資する優先分野への借入集中」といった原則に基づく公的債務管理戦略を厳格に実施している。

透明性・説明責任・効率性はすべての借入資金の管理において柱であり、特にインフラプロジェクトは高基準を満たしつつ長期的な国家発展を支える必要があると強調された。

さらに、国民経済計算の基準年を2014年に変更したことで、カンボジアの借入能力が拡大し、優先分野への投資を強化しつつ、2030年・2050年に向けた開発目標の達成に弾みをつけていると指摘された。

経済学者ダリン・ドゥチ氏も、「公的債務は依然として管理可能で、対GDP比は40%を大きく下回り、新興国の国際基準よりも低い」と述べ、低金利・長期償還の借入を中心とした規律ある姿勢を評価した。

同氏はまた、カンボジアの債務戦略がインフラ、連結性、エネルギー、人材開発を優先しており、これが長期的な持続可能性を支えていると強調。「生産的投資のための借入こそが、長期的に債務を管理可能にする鍵だ」とした。

ただし、世界的な金利変動、米・EU・中国など主要経済圏の成長鈍化、気候関連ショックによる輸出収益への影響、地政学的緊張など外部リスクの可能性にも言及した。

「カンボジアは、高い効果が期待できるプロジェクトのみに借入を絞り込む戦略を取っており、相当の財政余地を維持していることがうかがえる」と同氏は述べた。

専門家らは、政府の慎重な債務管理姿勢が、投資家の信認を維持しつつ、国家の開発優先課題を支えていると評価している。