カンボジア政府は、中国人観光客を対象とした画期的なビザ免除制度(試行)を2026年6月15日から10月15日まで実施する方針を明らかにした。あわせて、文化・観光関連の大型イベントを展開し、中国からの観光客および投資家に対し、安全・快適で魅力ある渡航先としての訴求力を強化する考えだ。
観光相フオット・ハック氏は、シェムリアップで開催された「カンボジア–中国国際観光音楽フェスティバル」にて制度開始を発表した。同イベントは「カンボジア–中国観光年2025」の一環として行われ、両国の国交樹立67周年も記念した。
ハック観光相は次のように述べた。
「2026年6月15日から10月15日まで、中国のパスポート所持者は事前のビザ申請や手数料なしでカンボジアに入国できます。必要なのは E-arrival カードの記入のみです。」
式典には、シェムリアップ駐在中国領事室の魯啓智主任、シェムリアップ州代表のディー・ラド氏、ストゥントレン州知事サー・ソパトラ氏など、両国の要人や約1,500人の参加者が出席し、文化公演を通じて深化する両国関係を示した。
ハック観光相は、フン・マネ首相の指導の下、観光産業が依然として重点経済分野であると強調。文化・自然・グリーン・クリーン・スマート観光の推進、高付加価値観光の育成、ビジネス観光の強化、投資環境の整備に注力していると説明した。
また、中国は依然として最も重要な潜在的市場であり、中国人旅行者と投資家の回帰がカンボジア観光の将来と「密接に関連している」と述べ、観光インフラやサービス改善への取り組みを紹介した。
今回のビザ免除措置は2025年12月2日に最高レベルで承認されたもので、4か月の試行期間中は14日間の滞在が可能となる。観光相は、閑散期(グリーンシーズン)における旅行需要を大幅に後押しする「歴史的成果」であると表現した。
政府は、中国大使館、民間セクター、関連省庁と連携し、円滑な制度施行に向け準備を進めている。
専門家「中国人観光客増は経済全体に好影響」
カンボジア政府によるビザ免除導入の決定は、観光・政策の専門家から歓迎の声が上がっている。
カンボジア王立アカデミー(RAC)の政策アナリスト、ソウン・サム氏は Khmer Times に対し、
「30ドルのビザ料金であっても心理的負担になり得る。ビザ免除は観光客にとって大きな魅力だ」と述べ、制度が観光需要を刺激すると評価した。
また、観光客増加はホテル、交通、飲食、娯楽など幅広い分野に波及効果をもたらし、地域経済の利益拡大につながると指摘。さらに、米国、日本、豪州、韓国といった主要市場へのビザ免除拡大も検討すべきだと提言した。
サム氏は、観光地の清潔さ、受け入れ態勢、サービス品質の改善を急ぐ必要性も強調した。
観光統計:1〜10月で475万人、中国は約100万人に増加
観光省の統計によると、今年1〜10月の外国人観光客数は475万人で、前年同期比11.6%減となった。
中国からの訪問者数は約100万人で前年同期比44.6%増となり、ベトナムに次ぐ第2位の送客国となっている。
一方、ベトナムからの訪問者は約101万人(6.8%減)、タイからは約99万6,000人(42%減)と大幅に落ち込んだ。