FAO(国連食糧農業機関)の報告書によると、カンボジアの水田作付けは、全国の米生産地域や州の多くで平均以下の降雨量にもかかわらず、順調に進んでいる。”国の年間生産量の約80%を占める2023年産水稲(湿田)の作付け作業は、季節的な雨の開始が遅れたため、多少の遅れはあったものの、5月末に開始された。 FAOの報告書によると、それ以来、南部や中部の州を含む主要な米生産地では、降雨量は平年並みかそれ以下であった。対照的に、北西部の米生産地では、平均以下の降雨量が7月中旬まで続き、作付け活動を制約し、初期の作物の発育に影響を与えた。 「FAOの農業ストレス指数(ASI)は、2023年8月上旬現在、同国の米生産地域全体で水不足(ASI)マップの黄色、オレンジ、赤色の地域」を示している。 気象予報によると、8月から10月にかけての降雨量は平均から平均以上であり、作付けが進み、作物が順調に生育する可能性がある。しかし、同時期の気温は高く、多雨と相まって病害虫の発生リスクを高めると予測されている。
カンボジアのWFP基本食料バスケットの一部である基本食料品の価格は、昨年を通して上昇傾向を示していたが、今年に入り安定した。最後のエルニーニョ現象は2019/2020年にカンボジアで発生し、トンレサップ湖の支流を含む多くの水域が干上がり、各州の農民や漁師を苦しめた。報告書は、世界銀行エコノミスト(農業担当)のウィリアム・サットン氏の言葉を引用し、エルニーニョ発生時には米の生産量が10%減少したのに対し、ラニーニャ発生時には5%増加したと述べている。10年以上前、エルニーニョに関連した干ばつにより、14,000ヘクタールの移植米、3,500ヘクタールの稲苗、5,500ヘクタールのその他の作物が被害を受けた。
「1994年、2002年、2005年の3回のエルニーニョ関連干ばつによる経済損失総額は、1億3,800万ドルと推定される。この報告書のために実施されたシミュレーションによると、典型的なエルニーニョが発生した場合、国のGDPは中立の年と比較して0.4%減少する。GDPのわずかな減少でさえ、かなりの金銭的損失」を意味する。