カンボジア最大の輸出品目である衣料品、履物、旅行用品(GFT)の輸出は、2023年1月から7月までの期間に20.44%の減少を記録し、今年7ヶ月目まで低迷が続いた。
関税・消費税総局(GDCE)の最新の貿易データによると、カンボジアは今年最初の7ヶ月間に62.7億ドル相当のGFT商品を輸出し、前年同期の78.9億ドルから急減した。
2023年7月単月のGFT輸出額は、2022年6月と比較して1%の伸びを示した6月の一時的な回復の後、前年同期と比較して28.15%の減少を示した。GFTの7月の後退は、今年1月から7月までの輸出全体の1.8%減少の原因ともなった。
GDCEデータの分析によると、2023年5月のGFT財輸出の減少率は2022年5月と比較して17.03%であった。4月のGFT輸出は30.42%減、3月は14.60%減、2月は24.54%減、1月は28%減であった。
ニット製品は7月まで30.6億ドルで、前年同期の39.7億ドルに比べ22.8%減少した。ニット以外の衣料品は14.0億ドルで、前年同期の16.4億ドルに比べ14.7%減少した。
旅行用品は、前年同期が12.2億ドルであったのに対し、今年7月までは10億ドルで、前年同期比18.3%の減少であった。靴の輸出は今年7ヶ月間で8億846万ドルで、これも前年同期の10億4000万ドルに比べ22.7%減少した。
専門家によると、ロシア・ウクライナ戦争の長期化とそれに伴うインフレ圧力以外に、米国による一般特恵関税制度(GSP)の非更新と、欧州連合(EU)によるEBA(Everything But Arms)特典の縮小も、カンボジアのGFT輸出に大きな打撃を与えている。
カンボジアを拠点とするAsian Vision Institute (AVI)のチェン・バナリス社長は、カンボジアのGFTセクターの苦境は主に世界的な経済状況に起因していると最近クメール・タイムズに語った。
バナリス氏によると、ウクライナ戦争の長期化と地政学的対立の激化が、世界経済の見通しに悪影響を及ぼしているという。
またバンナリス氏は最近、カンボジア中国自由貿易協定(CCFTA)がカンボジアの対中農産物輸出を後押しする可能性がある一方で、GFTセクターは同協定の下ではあまり恩恵を受けることができないかもしれないと指摘した。
カンボジア診断貿易統合調査2019-2023」を引用し、カンボジアの衣料品、自転車、靴の輸出先市場として、中国はEUと米国に取って代わることはできないとフルクラムの記事で述べた。
また、カンボジアの人権と民主主義の問題に対する懸念から、EUは2020年8月にカンボジアに対するEBA優遇措置の約20%を削減したと述べた。アメリカもGSPの優遇措置を停止した。
また、カンボジアがこの地域で輸出市場を拡大するには限界がある。「このような市場への輸出は全体のごく一部に過ぎず、カンボジアのビジネスはまだ地域のバリューチェーンに十分に組み込まれていない」と彼は記事に書いている。
カンボジア王立アカデミーのシニア・エコノミスト兼中国研究所所長のカイ・セレイバス氏も、カンボジアのGFTセクターの苦戦は世界経済の減速が原因であるとしている。
しかし、彼の意見では、GSPとEBAの問題はカンボジアのGFT輸出にあまり影響を与えなかった。セレイバス氏は、GSPの非更新とEBAの削減後も、カンボジアのGFT輸出は2019年から2022年にかけて増加していると指摘した。
しかし、在カンボジア欧州商工会議所(EuroCham)が昨年11月に発表したGFTセクター・ブリーフによると、カンボジアのEBAの影響を受ける64の関税品目のうち、5品目が旅行用品、13品目が履物製品、46品目が衣料品に関連している。
カンボジアはこれらの影響を受ける製品をEU市場に輸出することはできるが、他のWTO加盟国に適用される一般関税の対象となる。
一方、カンボジア政府は今年3月、繊維・衣料品工場の経営者と提携し、工場閉鎖や人員削減により職を失った労働者に経済的支援を提供する制度を開始した。
職を失った労働者は毎月70ドルずつ、工場主は30ドルを拠出し、残りは政府が負担する。